新しいCDCの「標準予防策」ガイドラインの勧告部分と、付録A部分のみの全訳です。

第一部から三部までは訳し中ですので今少しお待ちを。

 

 

(訳者註:標準予防策や感染経路別予防策は所々原文では文中にあえて大文字で書かれている。その部分はカギ括弧「 」で括って訳した。)

 

新潟県立六日町病院 麻酔科 市川高夫

little_karuka@nifty.ne.jp

 

 

IV部:

勧告

これらの勧告は、医療が提供される全ての施設における、患者および医療従事者の間での病原菌の伝播を防ぐように考案されている。

他のCDC/HICPACガイドラインと同じように、それぞれの勧告は、存在している科学的データ、理論的根拠、適応性と、可能ならば経済的影響を基に、分類された。

勧告を分類するためのCDC/HICPACシステムは以下の通りである:

カテゴリーIA 実行することを強く勧告されており、うまく計画された実験的、臨床的あるいは疫学的研究によって強力に支持されている。

カテゴリーIB 実行することを強く勧告されており、いくつかの実験的、臨床的あるいは疫学的研究と強い理論的な根拠によって支持されている。

カテゴリーIC 連邦及び/または州の規制または基準によって強制されているため、実行する必要がある。

カテゴリーII 実行することが提案される、そして示唆的な臨床的あるいは疫学的研究、もしくは理論的な根拠によって支持されている。

勧告なし;未解決の問題。不十分な根拠あるいは効果に関する合意がない慣行。

 

I. 管理責任

医療施設管理者は、必ずこのセクションの勧告を実行すべきである。

I.A. 施設患者の基本方針と職業安全プログラムの中に、病原体の伝播を予防することを盛り込む(543-546, 561, 620, 626, 946)。 カテゴリーIB/IC

I.B. 病原体の伝播を予防することを医療施設のために優先事項とする。

管理者は、感染対策プログラムを維持するため、財政上および人的資源を含めた援助を行う(434, 548, 549,559, 561, 566, 662 552, 562-564, 946) カテゴリーIB/IC

I.B.1. 感染対策プログラムが一人以上の資格を有する人によって管理されるように、全ての医療施設と契約することにより、感染対策でトレーニングを受け持つ人が雇用されるか、協力を得られることを保証する(552, 566 316, 575, 947 573, 576, 946)。 カテゴリーIB/IC

I.B.1.a. 感染制御プログラム、医療施設あるいは体制の複雑さ、患者人口の特徴、施設及び地域社会の他とは異なるまたは緊急的需要、そして調査結果と専門機関からの勧告に基づいた期待されるスタッフのレベルの範囲に従って、特定の感染対策正規職員(FTEs)を決定する(434, 549 552, 566 316, 569, 573, 575 948 949)カテゴリーIB

I.B.2. 特に高リスクユニットにおいて、臨床看護師のレベルと構成の決定要因の一つとして、医療関連感染(HAI)の予防を含める(585-589 590 592 593 551, 594, 595 418, 596, 597 583)。 カテゴリーIB

I.B.3. 患者配置と「感染経路別予防策」の任務に関して、感染管理を決定する感染管理職員もしくは企画者(例えば、患者ケアユニット主任看護師)に権限を委譲する(549 434, 857, 946)。 カテゴリーIC

I.B.4. 感染管理職員を、施設建設とデザイン、AIIR(空気感染隔離室)と防護環境容積の必要性と環境アセスメントの決定に関与させる(11, 13,950 951 12) カテゴリーIB/IC

I.B.4.a. 公表された勧告に従って、このような設備が適応とされる患者をケアする医療施設に、(リスクアセスメントによって決定されたように)、十分な数のAIIRs(空気感染隔離室)と防護環境に必要とされる換気システムを準備する (11-13, 15)。 カテゴリーIB/IC

I.B.5. 感染管理職員を、医療関連感染のリスクに影響する医療機器と医療材料の選定と導入後評価、および処置の変更に関与させる(952, 953)。 カテゴリーIC

I.B.6. 医療施設にふさわしい微生物伝播の監視、疫学的調査の計画と実行、出現している病原体の検出のため、十分な人数の微生物学の訓練を受けた臨床検査技師を含む臨床微生物検査サポートを提供し、人的および財政的資源を利用できるようにする。

臨床微生物学者と相談して、監視培養、ウイルスや他の選別した病原体の緊急診断検査、抗菌薬感受性の概略報告の準備、傾向分析、および分離培養の分子型(現場と参照検査室の両方で行う)のための資源を確認し、施設特有の疫学的必要性に応じたこれらの資源の利用を認める(553, 609, 610, 612, 617, 954 614 603, 615, 616 605 599 554 598, 606, 607)。 カテゴリーIB

I.B.7. 感染管理(例えば、医療従事者のワクチン接種、曝露後評価とケア、感染症を持った医療従事者の評価と管理)に関係する労働衛生需要を満たす人的および財政的資源を提供する(739 12 17, 879-881, 955 134 690)。 カテゴリーIB/IC

I.B.8. 医療が提供されるすべての場所で、手指衛生に必要な備品と個人防護具(例えば、手袋、ガウン、顔面・目防護具)を含む、「標準予防策」の一貫した遵守に必要な医療材料や器具を提供する(739 559 946)。 カテゴリーIB/IC

I.B.9. 再利用可能な患者ケア器材を、他の患者に使用する前に適切にきれいにし再処理することを保証する方針と手順を開発し実行する(11, 956 957, 958 959 836 87 11,960 961)。 カテゴリーIA/IC

I.C. 医療施設に適切な感染管理活動の監視を確実にし、感染管理活動の監視に対する責任を、感染管理に造詣の深い医療組織内の個人やグループに割り当てる(434, 549, 566)。 カテゴリーII

I.D. 外来部門(例えば、救急部門、外来患者診療部門、診療所でのトリアージ)で最初に患者と接触する時点や、入院および長期ケア施設(LTCF)への入院時点での、感染の可能性のあるヒトの早期発見と管理のシステムの開発と実行(9, 122, 134, 253, 827)。 カテゴリーIB

I.E. 感染症の徴候もしくは症候のある人の、患者への面会を制限する方針と手順の開発と実行。

高リスク患者ケア区域(例えば、悪性腫瘍ユニット、造血幹細胞移植[HSCT]ユニット、集中治療室、他の重症免疫不全患者)への面会者を、可能性のある感染症についてスクリーニングする(43 24, 41, 962,963)。  カテゴリーIB

I.F. 組織として特異的な病原体伝播の防止策(「標準予防策」と「感染経路別予防策」)の効果の成績指標を確認し、それらの達成度の尺度への遵守を監視するプロセスを確立し、個々のスタッフにフィードバックする(704 739 705 708 666, 964 667 668 555)。 カテゴリーIB

 

II. 教育と訓練

II.A. 医療施設でのオリエンテーションの間に、医療に関わる病原体の伝播の予防について、職種、つまりタスク特異性の教育と訓練を提供する; 実施されている教育プログラムの間にも定期的な情報の更新を行う。

診療部門、看護部門、臨床技師、検査スタッフを含み、かつ限定せず、すべての医療従事者に対して教育と訓練を行う; 管財(ハウスキーピング)、洗濯部門、ランドリー、保守及び給食部門; 学生、契約スタッフやボランティア。

必要に応じて、特別なスタッフの地位について、最初は繰返し適性を記録する。

外部委託の医療職員がその委託機関によって提供されたプログラムを通して、あるいは医療施設の正規職員のためにデザインされた医療施設のプログラムへ参加することにより、これらの教育と訓練の必要要件を満たすことを保証するシステムを開発する (126, 559, 561, 562, 655, 681-684, 686, 688, 689, 702, 893, 919, 965)。カテゴリーIB

II.A.1. 教育と訓練のプログラムには、追加の感染管理方法として、予防接種の利用に関する情報も含める (17, 611, 690, 874)。カテゴリーIB

II.A.2. 成人教育の原理を用いて、対象となる聴衆に合う読解レベルと言語の適切な資料を使い、施設で利用可能なオンラインの教育ツールを使って、教育と訓練を高める (658, 694, 695, 697, 698, 700, 966)。 カテゴリーIB

II.B. 患者と面会者のために、勧告された手指衛生と「呼吸衛生/咳エチケット」実行および「感染経路別予防策」の適用についての教材を提供する(9, 709, 710, 963)。 カテゴリーII

 

III. サーベイランス

III.A. 疫学的に重要な病原体の発生率や、予後に重大な影響があり、かつ効果的な予防処置が利用できる的を絞った医療関連感染を監視する;医療施設内で病原体の伝播を検出するために、高リスク集団、処置、器具や高度伝播性病原体のサーベイランスを通して集められた情報を利用する(566, 671, 672, 675, 687, 919, 967, 968 673 969 970)。 カテゴリーIA

III.B. 以下の感染症サーベイランスの疫学的原則を適応する(671, 967 673 969 663 664)。 カテゴリーIB

* 標準化した感染の定義を使用する

* (利用できるなら)検査室ベースのデータを使用する

* 疫学的に重要な変数を集める(例えば、患者配置及び/または病院やその他の大きなマルチユニット施設での臨床サービス、そして構成人口特異性のあるリスク因子(例えば、低出生体重新生児、重大な有害転帰になりやすくする基礎疾患)

* 伝播の増加率を示す傾向を特定するため、データを分析する

* 医療関連感染の発生率と予防の傾向、予想されるリスク因子と予防戦略、およびその影響についての情報を、地域および州の保健当局の定めるところによって、適切な医療従事者、施設管理者へフィードバックする

III.C. 伝播のリスクを減らし、効果を評価する戦略を開発し実行する(566, 673, 684, 970 963 971)。 カテゴリーIB

III.D. 感染予防と管理戦略の実行、および確認された遵守にもかかわらず、疫学的に重要な病原体が引続き伝播している時は、状況を検討し、追加の管理方法を勧告するため、感染管理と医療疫学に精通している人に相談する(566 247 687)。 カテゴリーIB

III.E. 定期的に、地域社会か地方において(他の医療機関も含め)、施設内の病原体の伝播に影響を与えるかもしれない、疫学的に重要な微生物(例えば、インフルエンザ、RSV、百日咳、侵襲性A群溶連菌疾患、MRSAVRE)の傾向についての情報を見直す(398, 687, 972, 973 974)。 カテゴリーII

 

 

IV. 標準予防策

全ての人は、医療施設で伝播するかもしれない病原体に感染しているか保菌している可能性があると仮定する。そして医療を提供する時は以下の感染管理を適用する。

IV.A. 手指衛生

IV.A.1. 医療を提供する間、環境表面から清潔な手への汚染と、環境表面へ汚染した手から病原体を伝播させるという両方を防止するため、患者の近くの環境表面に不必要に触れることを避ける(72,73 739, 800, 975{CDC, 2001 #970)。 カテゴリーIB/IC

IV.A.2. 手が目で見て汚れている時、タンパク性の物質で汚染した時、もしくは血液・体液で目で見て汚染した時は、普通石けんと流水または消毒剤スクラブと流水で手を洗う(559)。 カテゴリーIA

IV.A.3. もし手が目で見て汚れていたり、普通石けんと流水で見える物質を除去した後は、IV.A..a-fで述べられた臨床状況で手をきれいにする。

(訳者註:原文では「IV.A.2.a-f」とあるが、それは存在しない。「IV.A..a-f」の誤りと思われる)

手をきれいにする適切な方法は、アルコールベースの手指擦り込みである(562, 978)。 

あるいは、手を消毒剤スクラブと流水で洗うことである。

普通石けんで手を洗った後に直ちにアルコールベースの手指擦り込みを頻回に使用すると、皮膚炎の頻度が増加するかもしれない(559)。 カテゴリーIB

 

手指衛生を実行する

IV.A.3.a. 患者と直接接触する前 (664, 979) 。 カテゴリーIB

IV.A.3.b. 血液、体液、あるいは排泄物、粘膜、正常でない皮膚、あるいは創部ドレッシングに触れた後 (664) 。 カテゴリーIA

IV.A.3.c. 患者の正常な皮膚に触れた後 (例えば、脈を見たり、血圧を測る時や患者を持ち上げる時) (167, 976, 979, 980) 。 カテゴリーIB

IV.A.3.d. 患者ケア中、汚れた身体の部位からきれいな身体の部位へ手指を移動させる時。 カテゴリーII

IV.A.3.e. (医療機器を含む)患者のすぐの近くにある無生物体に触れた後(72, 73, 88, 800, 981 982)。 カテゴリーII

IV.A.3.f. 手袋を脱いだ後 (728, 741, 742)。 カテゴリーIB

 

IV.A.4. もし芽胞(例えば、クロストリジウム・デフィシルや炭疽菌)との接触があった可能性があれば、普通石けんと流水もしくは消毒剤スクラブと流水で手を洗う。

アルコール、クロルヘキシジン、ヨードフォアや他の消毒剤は芽胞に対して効果がないので、このような状況では、手を洗ってすすぐという物理的な行動が推奨される(559, 956, 983)。 カテゴリーII

IV.A.5. もし感染や有害転機に高リスクである患者(例えば、ICUや手術室での患者)に直接接触することが業務に含まれるのであれば、付け爪はしない(30, 31, 559,722-724)。 カテゴリーIA

IV.A.5.a. 上記以外の患者と直接接触する医療従事者が、人工の爪を付けることに関して、組織としての方針を開発する(984)。 カテゴリーII

 

IV.B. 個人防護具(PPE)(図を参照)

IV.B.1. 使用に当り以下の原則を守る:

IV.B.1.a. IV.B.2-4で述べられるように、予想される患者処置が、血液や体液との接触を起こす可能性がある時は、個人防護具を着用する(739, 780, 896)。 カテゴリーIB/IC

IV.B.1.b. 個人防護具を外す時に、衣類や皮膚の汚染を防止する(図を参照)。 カテゴリーII

IV.B.1.c. 患者病室や小個室から出る前に、個人防護具を外し、廃棄する。 カテゴリーIB/IC

 

IV.B.2.手袋

IV.B.2.a. 血液や他の感染性のある物質、粘膜、正常でない皮膚、あるいは汚染された正常皮膚(例えば、便や尿を失禁している患者の)に触れることが十分予想される時は、手袋を着用する(18, 728, 739, 741, 780, 985)。 カテゴリーIB/IC

IV.B.2.b. 手にフィットして業務にふさわしい耐久性を持つ手袋を着用する (559, 731, 732, 739, 986, 987)。 カテゴリーIB

IV.B.2.b.i. 直接的な患者ケアを提供するために使い捨ての医療用エグザミネーション・グローブを着用する

IV.B.2.b.ii. 環境もしくは医療機材をきれいにするために使い捨て医療用エグザミネーション・グローブか再利用可能な実用品の手袋を着用する

IV.B.2.c. 患者及び/または周りの環境(医療機材を含む)に触れた後は、手の汚染を防ぐために適切なテクニック(図を参照)を使って、手袋を脱ぐ。

同じ手袋を着用して一人以上の患者をケアしない。

病原体の伝播に関係するので、再利用の目的で手袋を洗わない(559, 728, 741-743, 988)。 カテゴリーIB

IV.B.2.d. 手を汚れた身体の部位(例えば、会陰部)からきれいな部位(例えば顔面)に移動させるなら、患者ケアの最中に手袋を交換する。 カテゴリーII

IV.B.3.ガウン

IV.B.3.a. 処置や患者ケア行為の間に血液、体液、分泌物あるいは排泄物で汚染されることが予想される時は、皮膚を防護し、衣服が汚れたり汚染されることを防ぐため、業務に適切なガウンを着用する(739, 780, 896)。 カテゴリーIB/IC

IV.B.3.a.i. もし患者に分泌物もしくは排泄物がしみ出していれば、直接患者に接触するためにガウンを着用する(24, 88, 89, 739, 744)。 カテゴリーIB/IC

IV.B.3.a.ii. 患者の環境から離れる前に、ガウンを脱ぎ手指衛生を実行する(24, 88, 89, 739, 744)。 カテゴリーIB/IC

IV.B.3.b. 同じ患者と繰り返し接触するとしても、ガウンは再利用しない。 カテゴリーII

IV.B.3.c. 高リスクユニット(例えば、ICU,NICU,HSCTユニット)に入室するに際し、日常的にガウンを着用するという指示はない(365, 747-750)。 カテゴリーIB

 

IV.B.4. 口、鼻、目の防護

IV.B.4.a. 血液、体液、分泌物および排泄物の飛散や噴霧が発生する可能性のある処置や、患者ケア行為の間は、目、鼻および口の粘膜を防護するために個人防護具を使用する。

遂行する業務で予想される必要に従って、マスク、ゴーグル、フェイス・シールドおよび各々の組み合わせを選択する(113, 739, 780, 896)。 カテゴリーIB/IC

 

IV.B.5. 呼吸防護が推奨される病原体(例えば、結核、SARSもしくは出血性ウイルス熱)に感染していないと考えられる患者で、エアロゾルを発生する処置(例えば、気管支鏡、気管吸引[もし閉鎖式吸引カテーテルを使用しないなら]、気管挿管)の最中には、次のどれか一つを着用する: (手袋とガウンに加えて)顔の前と横を全て覆うフェイス・シールド、シールドに付いているマスク、もしくはマスクとゴーグルを着用する(95, 96, 113, 126 93 94, 134)。 カテゴリーIB

 

IV.C. 呼吸衛生/咳エチケット

IV.C.1. 地域での、特にウイルス気道感染(例えば、インフルエンザ、RSV、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス)の季節的アウトブレイクの間には、呼吸系病原体の飛沫や媒介物伝播を防止するため、気道分泌物を押さえ込む感染源管理方法の重要性について、医療従事者に教育する(14,24, 684 10, 262)。 カテゴリーIB

(訳者註:fomiteという言葉はない。fomitesとして「媒介物」という意味の複数形はある。この単数形はfomesであり、「fomite」というものは辞書にはない。ここでは「fomite」を「媒介物」と訳した。)

IV.C.2. 医療施設で最初に出会う時の最初から、呼吸器感染の徴候と症候を示している患者および付き添いの人たちの気道分泌物を抑えるため、次の方法を実行する(例えば、救急部門、外来患者診療所や内科医オフィスの受付や待合所でのトリアージ、)(20, 24, 145, 902, 989)

IV.C.2.a. 外来や入院施設の入り口や、戦略的な場所(例えば、エレベーター、カフェテリア)に以下のことを案内するポスターを貼る: 「呼吸感染の症候のある患者さんやその他の人が、咳やくしゃみをする時は、ティッシュを使って口と鼻を覆い、ティッシュを捨て、手が気道分泌物に触れたら手を洗って下さい」。 カテゴリーII

IV.C.2.b. ティッシュ(ペーパー)とノータッチ開閉容器(例えば、足ペダル式蓋または蓋のないプラスチック形成廃棄かご)をティッシュの廃棄のために準備する(20)。 カテゴリーII

IV.C.2.c. 外来および入院施設の待合い区域内、またはその近くに、手指衛生を行うための設備・用具と案内を準備する; アルコールベース手指擦り込み剤のディスペンサーを適切に配置し、そして手洗いシンクが利用できるところなら、手洗いのために必要な備品を準備する(559, 903)。 カテゴリーIB

(訳者註:手洗いに必要な備品としては、液体石けんおよび消毒剤スクラブのディスペンサー、ノータッチで開閉できるか、足か肘で操作できる止水栓、適切な温度管理・塩素濃度管理のできている水道設備、ほこりを避けるディスペンサーに入った未滅菌ペーパータオル、床に接触しない蓋のないごみ捨てなどである。)

IV.C.2.d. 地域での呼吸器感染症の流行が増加している期間では(例えば、学校の長期欠席の増加、呼吸器感染のため治療を求めている患者数の増加など)、咳をしている患者やその他の症候のある人(例えば、病気の患者に付き添っている人)に、施設や診療所に入る時はマスクを着用するよう申し入れ (126, 899 898)、彼等に一般的な待合い区域では他の人から一定の距離、理想的には少なくとも3フィート(訳者註:0.3048×3=0.9144cm)離れているよう働きかける(23, 103, 111, 114 20, 134)。 カテゴリーIB

IV.C.2.d.i. いくつかの施設では、行動基準としてのこの勧告を年がら年中実行することは、論理的に難しくないことが分かるだろう。 カテゴリーII

 

IV.D. 患者配置

IV.D.1. 患者配置の決定に、感染性病原体の伝播の強さを考慮する。

他人に伝播のリスクを示す(例えば、漏れ出している分泌物、排泄物もしくは創部ドレナージ;ウイルス性呼吸器または消化管感染の疑いのある乳児)患者を、可能なら個室に配置する (24, 430, 435, 796, 797, 806, 990 410, 793)。 カテゴリーIB

IV.D.2. 患者配置は以下の原則に基づいて決定する:

* 既知であるか疑われている病原体の感染経路(複数)

* 感染した患者における伝播のリスク因子

* 患者配置に考えられている区域もしくは部屋で、他の患者に医療関連感染症が発生した場合の有害転帰のリスク因子

* 個室の利用可能状況

* 部屋を共有するための患者の選択肢(例えば、同じ感染症患者でコホーティング) カテゴリーII

 

IV.E. 患者ケア設備と器具/装置(956)

IV.E.1. 血液ないし体液で汚染されうる患者ケア設備と器具/装置を収容し、移動し、扱うための方針と手順を確立する(18, 739, 975)。 カテゴリーIB/IC

IV.E.2. クリティカルおよびセミクリティカルな器具/装置から、効果的に消毒と滅菌行程を可能とするため、高レベル消毒や滅菌の前に、推奨された洗浄剤を使って有機物を除去する(836 991, 992)。 カテゴリーIA

IV.E.3. 血液もしくは体液で目で見て汚染したか接触した可能性のある患者ケア設備や器具/装置を扱う時は、予想される汚染のレベルに応じて、個人防護具(例えば、手袋、ガウン)を着用する(18, 739, 975)。 カテゴリーIB/IC

 

IV.F. 環境の配慮(11)

IV.F.1. 患者の接触や汚れの程度によって、環境表面の日常的および対象を絞った洗浄の方針と手順を確立する(11)。 カテゴリーII

IV.F.2. 患者の極めて近くにある物の表面(例えばベッドレール、オーバーベッドテーブル)を含む、病原体に汚染される可能性のある表面と、患者ケア環境に存在する頻回に接触される表面(例えば、ドアノブ、病室のトイレの表面と周り)を、その他の環境表面(例えば、待合室の水平な表面)よりも頻回に計画的に清拭・洗浄し消毒する(11 73, 740, 746, 993, 994 72, 800, 835 995)。 カテゴリーIB

IV.F.3. 患者ケア環境を汚染する可能性が非常に高い病原体に対して、EPAに登録された殺微生物効果(いわゆる殺滅効果)のある消毒剤を使う。

メーカーの指示に従って使用する(842-844, 956, 996)。 カテゴリーIB/IC

IV.F.3.a. 病原菌(例えば、ロタウイルス、クロストリジウム・デフィシル、ノロウイルス)の伝播が続いている証拠が、現在使用中の製品への耐性を示している可能性のある時は、現在使用中の消毒剤の効果を再検討し、指示されるようにより効果のある消毒剤に変更する(275, 842,847)。 カテゴリーII

IV.F.4. 小児患者に医療が提供されるかあるいは子どもがおもちゃで遊ぶ待合いエリア(例えば、産科/婦人科オフィスやクリニック)のある施設では、定期的におもちゃを清拭・洗浄し消毒する方針と手順を確立する(379 80)。 カテゴリーIB

 

* この方針と手順を開発するにあたり、以下の原則を使う: カテゴリーII

清拭・洗浄と消毒が容易なおもちゃを選択する

もし共有されるのであれば、詰め物をされたフワフワしたおもちゃの使用は許可しない

少なくとも毎週そして目で見て汚れたら、大きな固定されたおもちゃ(例えば、登る設備)を清拭・洗浄し消毒する

もしおもちゃが口の中に入れられる可能性があるのなら、消毒後水ですすぐ;または、食器洗浄機で洗う

おもちゃが清拭・洗浄と消毒の必要がある時は、直ちに実行する。あるいはきれいにされ使用準備のできているおもちゃかと区別した指定のラベルを貼った容器に保管する

 

IV.F.5. 汚染防止および清拭・洗浄と消毒のための方針と手順について、多目的使用の電気設備、特に患者自身によって使用されたり、患者ケアを提供する時に使用されたりする器具、および頻回(例えば、毎日)病室に出し入れする移動装置を含める。(850 851, 852, 997)。 カテゴリーIB

IV.F.5.a. 取り外し可能な保護カバーや洗浄可能なキーボードの使用のための勧告はない。 未解決の問題

 

IV.G. 繊維と洗濯

IV.G.1. 周囲の空気、環境表面や人への汚染を避けるため、使用された繊維や織物はあまり揺り動かさないで扱う(739, 998, 999)。 カテゴリーIB/IC

IV.G.2. もし洗濯物シューターが使われているなら、汚染した洗濯物からのエアロゾルの飛沫が最小となるよう、それらが適切に設計され、維持され、使われていることを確認する (11,13,1000,1001)。 カテゴリーIB/IC

 

IV.H. 安全な注射業務

以下の勧告は、注射針、注射針の代りのカニューレ、そして静脈内輸液システムが使用されるところで適応される(454 82)

IV.H.1. 滅菌された注射器材の汚染を避けるため無菌操作を行う(1002, 1003)。 カテゴリーIA

IV.H.2. たとえ注射器に付けた注射針あるいはカニューレを交換したとしても、一つの注射器から薬剤を複数の患者に投与しない。

注射針、カニューレおよび注射器は滅菌された使い捨ての品物である; それらは他の患者や次の患者のために使われる薬剤や溶液を使用するために再利用してはならない(453, 919, 1004, 1005)。 カテゴリーIA

IV.H.3. 輸液や投与セット(すなわち、輸液バッグ、チューブやコネクター)はたった一人の患者にのみ使用し、使用後は適切に破棄する。

患者輸液バッグつまり投与セットに一旦接続されれば、注射器もしくは針/カニューレは汚染したと見なす(453)。 カテゴリーIB

IV.H.4. 可能な時はいつでも、経静脈的薬剤投与にはシングルドーズ(単回投与)・バイアルを使用する(453)。 カテゴリーIA

IV.H.5. シングルドーズ・バイアルやアンプルから薬剤を複数の患者へ投与したり、あるいは後で使用するために残しておいたものと混ぜ合わせない(369 453,1005)。 カテゴリーIA

IV.H.6. もしマルチドーズ(多回投与)バイアルを使用しなければならないなら、マルチドーズ・バイアルに使用するシリンジと注射針またはカニューレは滅菌されたものとする(453, 1002)。 カテゴリーIA

IV.H.7. 緊急患者治療区域ではマルチドーズ・バイアルを置かず、メーカーの推奨に従って保管する;もし滅菌状態が信用できないか、疑問に思える場合は破棄する(453, 1003)。 カテゴリーIA

IV.H.8. 複数の患者のための一般的な供給源として、輸液バッグや輸液ボトルを使用しない(453, 1006)。 カテゴリーIB

 

IV.I. 特殊な腰椎穿刺処置における感染管理手技

(すなわち、脊髄造影・ミエログラム、腰椎穿刺や脊椎または硬膜外麻酔などの)脊髄腔または硬膜下腔へのカテーテル留置や薬剤注入時は、サージカル・マスクを着用する(906 907-909 910, 911 912-914, 918 1007)。 カテゴリーIB

 

IV.J. 従事者の安全

血液由来病原体の被曝から医療従事者を守るため、連邦と州の要件に従う(739)。 カテゴリーIC

 

 

V. 感染経路別予防策

 

V.A.一般的な原則

V.A.1. 「標準予防策」に追加して、伝播を予防するために必要な追加の予防策として、伝播力が強いか疫学的に重要な病原体による確定診断が付けられたか疑いのある感染症もしくは保菌の患者に、「感染経路別予防策」を使用する(付録Aを参照)(24, 93, 126, 141, 306, 806, 1008)。 カテゴリーIA

V.A.2. 他に伝播するウイルス性病原体の継続した発散のため、ウイルス感染で免疫不全状態にある患者には、「感染経路別予防策」(例えば、「飛沫」、「接触」)の期間を延長する(928, 931-933, 1009-1011)。 カテゴリーIA

 

V.B. 接触予防策

V.B.1. 接触性伝播のリスクが高い、既知かあるいは疑われている感染症もしくは、症状のある患者のため、付録Aで勧告されているように「接触予防策」を使用する。

多剤耐性菌(MDROs)の保菌あるいは感染のための「接触予防策」の使用についての特別な勧告については、MDROガイドラインを参照する:www.cdc.gov/ncidod/dhqp/pdf/ar/mdroGuideline2006.pdf (870)。 

V.B.2.患者配置

V.B.2.a.急性期治療の病院では、「接触予防策」の必要な患者は、可能なら、個室に収容する(24, 687, 793, 796,797, 806, 837, 893, 1012, 1013)。  カテゴリーIB

個室が不足している時は、患者配置についての決定は以下の原則を適応する:

* 伝播を促進するかもしれない状態(例えば、漏出しているドレナージ、便失禁)の患者は個室収容を優先する。 カテゴリーII

* 同じ病原体で感染か保菌していて、かつ適切な同室者である患者達は、同じ部屋(コホート)とする(29, 638, 808, 811-813, 815, 818, 819)。 カテゴリーIB

* もし「接触予防策」が必要な患者を同じ病原体で感染もしくは保菌していない患者と同室にする必要が生じたら:

o 感染で有害転帰のリスクが増大する状態や、伝播を促進する状態の患者(例えば、免疫不全、開放創または長期入院の予想される患者)と「接触予防策」をとられている患者を同室させることは避ける。 カテゴリーII

o 患者同士が各々物理的に離れている(すなわち3フィート・約1m)ことを確認する。

直接接触の機会を最小限にするため、ベッド間のプライバシーカーテンを引いておく。 カテゴリーII

o 一人もしくは両方の患者が「接触予防策」にあるかどうかに関わらず、同じ部屋にいる患者間で接触する場合は防護衣服を交換し、手指衛生を実施する(728, 741, 742, 988, 1014, 1015)。 カテゴリーIB

V.B.2.b.長期療養やその他の居住施設では、患者配置の決定は、同室の他の患者に対する感染リスク、伝播の可能性を増大するリスク因子の存在、感染症あるいは保菌している患者における有害な精神的な影響の可能性を勘案して、ケースバイケースで行う(920, 921)。 カテゴリーII

V.B.2.c.外来部門では、「接触予防策」の必要な患者は、診察室あるいは小部屋にできる限りすぐに配置する(20)。 カテゴリーII

 

V.B.3. 個人防護具の使用

V.B.3.a.手袋

患者の正常の皮膚(24, 89, 134, 559,746, 837)、あるいは患者に極めて近い環境表面や品物(例えば、医療機器、ベッドレール)(72, 73, 88, 837)に触れる時はいつでも手袋を着用する。

病室や小部屋へ入る時は手袋を着用する。 カテゴリーIB

 

V.B.3.b. ガウン

V.B.3.b.i. 衣服が患者と直接、あるいは患者に極めて近い汚れているかもしれない環境表面や設備と接触するようなときはいつでもガウンを着用する。

病室あるいは小部屋に入室する時はガウンを着用する。

患者ケア環境から離れる前に、ガウンを脱ぎ、手指衛生に注意を払う(24, 88, 134, 745, 837)。 カテゴリーIB

V.B.3.b.ii. ガウンを脱いだ後は、他の患者や環境表面に微生物を伝播させる可能性となる汚染している可能性のある環境表面に、衣服や皮膚を接触させないことを確認する(72, 73)。 カテゴリーII

V.B.4. 患者搬送

V.B.4.a.急性期治療病院と長期療養と他の在宅施設では、医学的必要性において、部屋の外に患者を搬送や移動することを制限する。 カテゴリーII

V.B.4.b. いかなる医療施設においても搬送や移動時においては、患者の身体の感染ないし保菌部位に漏れが無く被覆されていることを確認する。 カテゴリーII

V.B.4.c. 「接触予防策」上、患者の搬送に先立ち、汚染した個人防護具を脱いで破棄し、手指衛生を実行する。 カテゴリーII

V.B.4.d. 搬送目的地において患者を扱うため、清潔な個人防護具を着用する。 カテゴリーII

 

V.B.5. 患者ケア備品と器具/装置

V.B.5.a.「標準予防策」に従って、患者ケア備品と器具/装置を扱う(739, 836)。 カテゴリーIB/IC

V.B.5.b.急性期治療病院と長期療養と他の在宅施設では、使い捨てのノンクリティカルな患者ケア備品(例えば、血圧計のカフ)を使うか、このような備品は患者専用使用とする

もし複数の患者に使う備品の共用が避けられないのであれば、次の患者に使用する前にこのような備品は清拭・洗浄および消毒をする(24, 88, 796, 836, 837, 854, 1016)。 カテゴリーIB

V.B.5.c. 在宅介護では

V.B.5.c.i. 「接触予防策」上、患者の家に持ち込む使い捨てでない患者ケア備品の量は制限する。

可能な時はいつでも、在宅ケアサービスから廃棄するまで、患者ケア備品はその家に置いたままにする。 カテゴリーII

V.B.5.c.ii. もしノンクリティカルのケア備品(例えば、聴診器)がその家に置いてなければ、低〜中間レベルの消毒剤を使ってその家から持ち出す前に、清拭・洗浄および消毒をする。

あるいは、搬送とその後の清拭・洗浄と消毒を行うため、プラスチックバッグに汚れた再使用備品を入れる。 カテゴリーII

V.B.5.d.外来部門では、再処理のため汚染物利用区域に持ち込むのに、汚れた再利用可能ノンクリティカル患者ケア備品をプラスチックバッグに入れる。 カテゴリーII

 

V.B.6.環境対策

「接触予防策」上の患者の部屋は、頻回に接触される表面(例えば、ベッドレール、オーバーテーブル、ポータブルトイレ、病室の浴室のトイレ表面、ドアノブ)と、患者に極めて近いところにある備品に焦点を当てて、頻回に清拭・洗浄と消毒を優先することを確認する(11, 24, 88, 746, 837)。 カテゴリーIB

 

V.B.7. 感染の徴候や症候が改善するか付録Aにある病原体特有の勧告に従って、「接触予防策」を終了する。 カテゴリーIB

 

V.C. 飛沫予防策

V.C.1. 咳、くしゃみ、あるいは会話によって患者から発生する呼吸器の飛沫(すなわち、大きさが5μ以上の大きな粒子の飛沫)によっ伝播される病原体に感染していると判っているか疑われる患者には、付録Aで勧告されているように「飛沫予防策」を使用する(14, 23, Steinberg, 1969 #1708, 41, 95, 103, 111, 112, 755, 756, 989, 1017)。 カテゴリーIB

V.C.2.患者配置

V.C.2.a. 急性期治療病院で、利用可能なら、「飛沫予防策」の必要のある患者は個室に入れる。 カテゴリーII

個室が不足している時は、患者配置の決定をする場合、以下の原則を適応する:

* 咳または喀痰産生の激しい患者は、優先的に個室に入れる。 カテゴリーII

* 同じ病原体で感染しかつ適当な同室者である患者は、同じ病室(コホート)に配置する(814 816)。 カテゴリーIB

* もし同じ感染症にかかっていない患者と、「飛沫予防策」の必要な患者を一つの部屋に配置しなければならないなら:

* 感染で有害転帰のリスクが増大するか、伝播しやすくなるような状態の患者と同じ部屋に「飛沫予防策」の患者を配置することは避ける(例えば、免疫不全、入院期間が延びると予想される患者)。 カテゴリーII

* 患者同士は物理的に離れていることを確認する(すなわち、3フィート以上離れる)。

密接な接触の機会が最小限となるよう、ベッドの間のプライバシーカーテンを引いておく(103, 104 410)。 カテゴリーIB

* 一人もしくは両方の患者が「飛沫予防策」にあるかどうかに関わらず、同じ部屋にいる患者間で接触する場合は防護衣服を交換し、手指衛生を実施する (741-743, 988, 1014, 1015)。 カテゴリーIB

V.C.2.b.長期療養やその他の居住施設では、患者配置の決定は、同室の他の患者に対する感染リスクや、有効な代替案を考慮してケースバイケースで行う(410)。 カテゴリーII

V.C.2.c.外来部門では、「飛沫予防策」の必要な患者は、診察室あるいは小部屋にできる限りすぐに配置する(447, 448 9, 828)。 カテゴリーII

 

V.C.3. 個人防護具の使用

V.C.3.a. 病室あるいは小部屋へ入る時はマスクを着用する (14, 23, 41,103, 111, 113, 115, 827)。 カテゴリーIB

V.C.3.b.「飛沫予防策」が必要な患者と密接な接触をするため、マスクに加えて目の防護具(例えば、ゴーグルもしくはフェイスシールド)を日常的に着用することに対する勧告はない。 未解決の問題

V.C.3.c. SARS,鳥インフルエンザあるいは汎発インフルエンザに罹患しているか疑われている患者に対しての最も新しい勧告については以下のウェブサイトを参照する。( www.cdc.gov/ncidod/sars/ ;www.cdc.gov/flu/avian/ ;www.pandemicflu.gov/) (134, 1018, 1019)

 

V.C.4.患者搬送

V.C.4.a.急性期治療病院と長期療養と他の滞在型施設では、医学的必要性において、部屋の外に患者を搬送や移動することを制限する。 カテゴリーII

V.C.4.b. 全ての医療施設で、搬送や移動が必要なら、患者にマスクを着け「呼吸衛生/咳エチケット」に従うよう指導する。www.cdc.gov/flu/professionals/infectioncontrol/resphygiene.htm)  カテゴリーIB

V.C.4.c. 「飛沫予防策」の必要な患者を搬送している人にはマスクは必要ない。 カテゴリーII

V.C.4.d. 感染の徴候や症候が改善するか付録Aにある病原体特有の勧告に従って、「飛沫予防策」を終了する。 カテゴリーIB

 

V.D. 空気予防策

V.D.1. 付録Aにある空気感染経路でヒト-ヒト伝播する病原体に感染していることが判っているか疑われている患者には「空気予防策」を使用する(例えば、結核(12)、麻疹(,834 1221020)、水痘(123 7731021)、び慢性帯状疱疹(1022))。 カテゴリーIA/IC

V.D.2. 患者配置

V.D.2.a.急性期治療病院と長期療養施設では、現在のガイドラインに従って建設された空気感染隔離室(AIIR)に「空気予防策」の必要な患者を配置する (11-13)。 カテゴリーIA/IC

V.D.2.a.i. 1時間当たり少なくとも6回(すでに稼働している施設)、あるいは12(新築/改修の施設)の空気交換を行う。

V.D.2.a.ii.外部への空気の直接排気

もし空気隔離室(AIIR)から直接外部へ排気できなければ、全ての空気はHEPAフィルターを通して空気を扱うシステムないし隣接スペースに返される。

V.D.2.a.iii. 「空気予防策」上の患者にAIIRが使用される時はいつでも、差圧検出装置(例えば、圧力計・マノメーター)があるかどうかに関わらず、視覚的なインジケーター(例えば、煙管、動揺片)で毎日空気圧を監視する(11, 12, 1023, 1024)

(訳者註:smoke tubeを煙管と訳したが、エンカンと読み、キセルとは読まない。アメリカではキットが売られており、使用時に煙を発生させ空気の流れを視覚的に確認できる。flutter stripsは紙片などで空気の流れを確認すること。戸の隙間やフィルターの前などで確認作業を行う。)

V.D.2.a.iv. 出入りに必要な時以外はAIIRのドアは閉じておく。

V.D.2.b. AIIRが利用できない時、患者をAIIRが利用できる施設に転送する(12)。 カテゴリーII

V.D.2.c. 「空気予防策」を必要とする多数の患者を伴ったアウトブレイクつまり曝露の場合には:

* AIIRの工学的必要条件に合致しない代替の部屋の安全性を決めるために、患者配置の前に感染管理専門家に相談する。

* 他の患者−特に感染リスクの高い患者(例えば、免疫不全患者)−から離れた施設の区域に、(臨床症状や分かっていれば診断に基づいて)同じ感染症にかかっていると考えられる患者同士を配置する(コホート)。

* 一時的な持ち運び可能な解決法(例えば、排気ファン)を、施設の使用変更された区域で陰圧環境を作り出すために使用する。

人や空気取り入れ口から離れた外部に直接空気を排気するか、他の空気スペースに送気する前にその空気を全て直接HEPAフィルターに通す(12)。 カテゴリーII

 

V.D.2.d.外来部門では:

V.D.2.d.i. 「空気予防策」が必要な感染症にかかっていると分かっているか疑いのある患者を、外来部門の入り口で確認するシステム(例えば、トリアージ、警告)を開発する(9, 12, 34, 127, 134)。 カテゴリーIA

V.D.2.d.ii. できる限り早くAIIRに患者を配置する。

もしAIIRが利用できなければ、患者にサージカルマスクを着用させ、診察室に入っていてもらう。

患者が退出したら、その部屋は適切な時間−大抵は空気の全ての交換に一時間を考慮する−、部屋を空けておく(11, 12, 122)。 カテゴリーIB/IC

V.D.2.d.iii. 空気感染する感染症にかかっているか疑われる患者にサージカルマスクを着用し、「呼吸衛生/咳エチケット」を守るよう指導する。

一旦AIIRに入れば、マスクは外すことができる; もし患者がAIIRに入っていなければ、マスクは着けたままにしておく(12, 107, 145, 899)。 カテゴリーIB/IC

 

V.D.3. 就業制限

もし他の免疫のある医療従事者がいるなら、感染する可能性のある医療従事者は、はしか(麻疹)、水痘(水ぼうそう)、び慢性帯状疱疹あるいは天然痘にかかっているか疑いのある患者の部屋に入室させない(17, 775)。 カテゴリーIB

 

V.D.4. 個人防護具(PPE)の使用

V.D.4.a. 以下の病気が疑われているか確認されている時、患者の部屋あるいは家に入る時は、呼吸防護のためにフィットテストをしたNIOSH認可のN95あるいは高レベルレスピレーターを着用する:

(訳者註:略語にあるようにNIOSH:National Institute for Occupational Safety and Health, CDC、で国立職業安全と健康協会)

 

* 感染性肺もしくは喉頭結核、または感染性結核皮膚病変や生きている病原体のエアロゾル化をもたらす手技(例えば、洗浄、切開とドレナージ、渦巻き治療)の施行(12, 1025, 1026)。 カテゴリーIB

* 天然痘(ワクチン接種とワクチン未接種共に)

ワクチンが効果のない遺伝子操作されたウイルスであるとか、非常に大量のウイルスに被曝するリスク(例えば、高リスクのエアロゾル発生用具、免疫不全患者、出血性またはフラット天然痘)のため、天然痘ウイルスワクチン後「免疫が付いた」と証明のある医療従事者を含め、全ての医療従事者に、呼吸防護が勧告される (108, 129)。 カテゴリーII

(訳者註:フラット天然痘(flat smallpox)は、flat-type smallpoxとも言い、皮膚に発疹を生じないタイプで皮膚は平、つまりflatである。稀であるが致死的であるとされる。)

V.D.4.b.はっきりした免疫の確立が難しいため(訳者註:マスク等で疫病を免れることが難しいため)、麻疹、水ぼうそうやび慢性帯状疱疹にかかっているか疑いのある人をケアする時に、既往疾患、ワクチン接種または血清検査に基づいて、麻疹、水痘・帯状疱疹に免疫があると推定される医療従事者が、個人防護具を使うことに関する勧告はない(1027, 1028)。 未解決の問題

V.D.4.c. 麻疹、水ぼうそうあるいはび慢性帯状疱疹の診断がついているか疑いのある患者に接触しなければならない医療従事者が着用する個人防護具(すなわち、サージカルマスクもしくはN95やそれ以上のレスピレーターによる呼吸防護)の型についての勧告はない。 未解決の問題

 

V.D.5. 患者搬送

V.D.5.a.急性期治療病院と長期療養と他の滞在型施設では、医学的必要性において、部屋の外に患者を搬送や移動することを制限する。 カテゴリーII

V.D.5.b. もしAIIRの外へ搬送や移動する時は、患者にサージカルマスクを着用し、可能なら「呼吸衛生/咳エチケット」を守るよう指導する(12)。 カテゴリーII

V.D.5.c. 水痘もしくは天然痘、あるいは結核による浸出液の出ている皮膚損傷を伴った皮膚損傷のある患者には、皮膚損傷部位にある病原体がエアロゾル化したり接触することを防ぐため、患部を覆う(108, 1025, 1026, 1029-1031。 カテゴリーIB

V.D.5.d.「空気予防策」上の患者を搬送する医療従事者は、もし患者がマスクを着用し、感染した皮膚が覆われていれば、搬送の間、マスクやレスピレーターを着用する必要はない。 カテゴリーII

 

V.D.6. 曝露管理

麻疹、水痘あるいは天然痘の患者に、防護せずに接触(すなわち曝露された)したならできる限り速く、感染の可能性のある人にワクチン接種もしくは適切な免疫グロブリンを投与する。 カテゴリーIA

* 麻疹曝露後、感受性のある人には72時間以内にワクチン接種するか、ワクチンが禁忌の高リスクの人には曝露6日以内に免疫グロブリンを投与する(17, 1032-1035)

* 水痘曝露後、感受性のある人には120時間以内にワクチン接種するか、ワクチンが禁忌の高リスクの人(例えば、免疫不全患者、妊娠している女性、母親が分娩前5日以内または分娩後48時間以内に水痘を発症した新生児)には、もし可能なら、水痘免疫グロブリン(VZIGあるいは代替製品)を96時間以内に投与する(888, 1035-1037)

* 天然痘ワクチンは、曝露した感受性のある人に、4日以内に投与する(13)

 

V.D.7. 付録Aにある病原体特有の勧告に従って、「空気予防策」を終了する。 カテゴリーIB

 

V.D.8. 医療施設での結核の伝播予防の環境政策の追加の手引きとして、CDCの「医療施設における結核伝播予防策2005(12)と「医療施設における環境感染管理ガイドライン」(11)を参照する。

これらのガイドラインの中の環境に関する勧告は、「空気予防策」を必要とする他の感染症の患者にも適応できる。

 

 

VI.防護環境(4)

VI.A. 「HSCT(同種造血幹細胞移植)患者における日和見感染防止ガイドライン」(15)、「医療施設における環境感染管理ガイドライン」(11)および「医療に関する肺炎防止のガイドライン2003(14)に書かれているように、環境に存在する真菌・カビ(例えば、アルペルギルス属)の被曝を減少させるために、同種造血幹細胞移植患者は、防護環境に配置する(157, 158)。 カテゴリーIB

 

VI.B. 環境に存在する真菌感染(例えば、アスペルギルス症)のリスクの高い他の医学的状況の患者を、「防護環境」に置く事に関する勧告はない(11)。 未解決の問題

 

VI.C. 「防護環境」を必要とする患者には、以下のことを実行する(表5参照)(11, 15)

VI.C.1.環境管理

VI.C.1.a. 直径0.3μm以上の粒子を99.7%除去できる中央または使用場所での高効率微粒子(HEPA)フィルターを使って、流入する空気をろ過する(13)。 カテゴリーIB

VI.C.1.b. 空気の部屋のながれは、部屋の一方から供給され、患者ベッドを横切り、部屋の反対側から排出される(13)。 カテゴリーIB

VI.C.1.c. 廊下と比較して室内が陽圧(圧差は12.5Pa以上[水位計で0.01])(13)。 カテゴリーIB

VI.C.1.c.i. 毎日視覚的なインジケータ(例えば、煙管、動揺片)で気圧を監視する(11, 1024)。 カテゴリーIA

VI.C.1.d. 外気の侵入を防ぐように、よくシールされた部屋(13)。 カテゴリーIB

VI.C.1.e. 1時間当り少なくとも12回の空気交換(13)。 カテゴリーIB

VI.C.2. 織り目の材質(例えば、室内装飾品)より、滑らかな小穴がなく、表面を擦り洗いできる仕上げ材(フィニッシュ)で、埃の程度を下げる。

埃を見つけたらいつでも水平面の埃を濡れたもので拭き取り、ルーチンに埃が溜まりやすい割れ目やスプリンクラーヘッドをきれいにする(940, 941)。 カテゴリーII

(訳者註:スプリンクラーヘッドが不明です。まさか天井に付いているスプリンクラーのことで、それをルーチンに清拭するというのでしょうか???危険だと思いますが・・???。シャワーヘッドのことなら分かります。ここは良く汚れるし、ルーチンな洗浄は必要なところです。)

VI.C.3. 区域としての廊下と病室にカーペットは敷かない(941)。 カテゴリーIB

VI.C.4. ドライフラワーも新鮮な花も鉢植えの植物も禁ずる(942-944)。 カテゴリーII

 

VI.D. 「防護環境」の必要な患者が、診断的処置やその他で病室の外にいる時間を最小限とする(11, 158, 945)。 カテゴリーIB

VI.E. 建設工事中は、感染性の芽胞を含む吸入可能な粒子を吸い込まないよう、「防護環境」から離れる必要があり、レスピレーター着用に耐えられる、医学的に適切な患者に呼吸防護(例えば、N95レスピレーター)を提供する(945 158)。 カテゴリーII

VI.E.1.a. レスピレーターを使う患者のフィット・テストに関する勧告はない。 未解決の問題

VI.E.1.b. 建設等がない期間に「防護環境」を離れる時、微粒子レスピレーターの使用に関する勧告はない。 未解決の問題

VI.F. 「防護環境」においては「標準予防策」と「感染経路別予防策」を適用する

VI.F.1. 全ての患者の相互交流を対象に「標準予防策」を使用する。 カテゴリーIA

VI.F.2. 付録A.に載せ疾患を対象に「飛沫予防策」と「接触予防策」を実行する。

ウイルス感染のための「感染経路別予防策」は患者の免疫不全状態とウイルスの放出が続くため、期間を延長する必要があるかもしれない(930 1010 928, 932 1011)。 カテゴリーIB

VI.F.3. バリアプレコーション(例えば、マスク、ガウン、手袋)は、疑われているとか確認された感染がない患者、もしくはもし「標準予防策」の対象でない患者であるとき、医療従事者には必要ない(15)。 カテゴリーII

VI.F.4.「防護環境」室の必要なあるいは、空気感染疾患(例えば、肺もしくは喉頭結核、急性水痘帯状疱疹に罹患している患者には「空気予防策」を実行する。 カテゴリーIA

VI.F.4.a. 「防護環境」が陽圧を維持するように設計されていることを確認する(13)。 カテゴリーIB

VI.F.4.b. 廊下と「防護環境」を比較して適切な空気圧バランスを更に維持するように前室を使う; 汚染された空気を独立して外部に排出するか、もし再循環させなければならないなら、排気ダクトの中にHEPAフィルターを設置する(13, 1041)。 カテゴリーIB

VI.F.4.c. もし前室が利用できないなら、患者をAIIRに入れ、携帯型の工業規格のHEPAフィルターを芽胞の濾過を高めるために部屋の中で使用する(1042)。 カテゴリーII


個人防護具(PPE)の安全な着脱の参考例

個人防護具の着用

ガウン

* 首から膝、手首の終わりまでの腕までの胴体を完全に覆い、背中も包み込む

* 首と腰の部分で背部をしっかり締める

 

マスクあるいはレスピレーター

* 頭部と頸部の真ん中で、しっかりと紐あるいはゴムバンドを締める

*  しなやかに曲がるバンドを鼻梁に合わせる

* 顔面と顎の下にぴったり合わせる

* レスピレーターをフィット・チェックする

(訳者註:フィット・テストはフードをかぶってサッカリンミストによる甘味を感じるかを調べる着用練習法で、定期的に行う訓練。フィット・チェックはレスピレーターを着用するたびに行うもので、軽くレスピレーターを押し、息を吸う時適度に陰圧となることを確認する方法。)

 

ゴーグル/フェイスシールド

* 顔面につけ、合うように調整する

 

手袋

*  隔離(標準予防策など)には未滅菌を使用する

* 手の大きさに合わせて選択する

* アイソレーション・ガウンの手首部分まで覆う

 

安全作業手順

* 手はいつも顔面から遠ざけておく

* きれいなところから汚れた所へと作業する

* (訳者註:環境などの)表面はできる限り触れない

* 破れたりあるいは著しく汚れた時は交換する

* 手指衛生を実行する


個人防護具の外し方

病室あるいは前室から出る前に出入口でPPEを外す

 

手袋

* 手袋の外側は汚れている !

* 手袋をしている反対側の手で、手袋の外側をつかむ:外側が内側になるようにはがす

* 脱いだ手袋を手袋をした手で持つ

* 手袋を抜いだ方の手の指を、手袋が付いている手の手首の下に入れる

 

ゴーグル/フェイスシールド

* ゴーグルやフェイスシールドの外側は汚れている !

* 外すには、「きれいな」ヘッドバンドか耳に当たるつる部分を触る

* 再処理のために指定した容器か廃棄容器に入れる

 

ガウン

* ガウンの正面と袖は汚れている !

* まず、首の紐をほどき、次に腰の紐をほどく

* ガウンを、外側を中に丸め込むように脱ぐ; 同じ手の方に各々の肩からガウンを引き抜く

* ガウンは裏表を引っ繰り返すことになる

* ガウンは身体から離して持ち、包みにして、廃棄あるいはリネン容器に処分する

 

マスクあるいはレスピレーター

* マスク/レスピレーターの前面は汚れている !  −  触らないこと !

* 「一番下」と、紐やゴムバンドの端だけつかみ、外す

* 廃棄容器に捨てる

 

手指衛生

全ての個人防護具を外した後、直ちに手指衛生を行う !